「ダンシングボア」:あらすじ


ぼくと同棲中の彼女(マカト)の関係は冷えはじめている。
ぼくは借金返済のために働くことになったコンビニのオーナーの助けもあって パチンコから足を洗ったが、マカトは一向に止める気配はない。
実家のおばーから貰う軍用地料のおこぼれをパチンコにつぎ込んでいて意に介さずなのだ。
子供ができても、「堕ろす」選択をせざるを得ない状況だ。

そんな中、最近ぼくは以前にアルバイトをしていた豚舎のオス豚の夢をよく見るようになる。
その豚はボアといい、立ち上がって踊ることもできる。

神人(かみんちゅ)でもあるマカトのおばーによると、 今はアメリカの基地内にあって昔のおばーの豚小屋にいたオス豚がそのボアで、 戦争が始まると同時に集団脱走して、いなくなったのだそうだ。

おばーは軍用地料なんかいらない、基地のフェンスをたっぴらかして (壊して)昔の自分の土地(畑、豚舎、墓)で働く夢をしきりに語る。
そのことをボアに伝えてくれと、ぼくはおばーから頼まれる。

マカトのこと、おばーのことに思いを巡らすぼくは、 ボアと豚の集団と一緒に夢うつつ台風の中、巣くっている根源を破壊する決心をする。


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