ISBN4-10-379603-0
C0093

講談社出版

☆海鳴り(UMINARI)☆

帯から

芸術選奨新人賞受賞作家
沖縄歴史小説名品集!
沖縄五十年毎の歴史小説名品集
ほぼ150年前のペリー艦隊殺人事件をはじめ、100年前、
50年前、現代に至る風土とリアルな人間の条件の物語4編

1854年(安政元年)六月
十二日の昼さがり。那覇港の船
溜りから臨海寺に至る細い海中
通路をペリー監督率いるアメリ
カ東洋艦隊の水夫が一人、二十
人ばかりの男たちに取り囲まれ、
罵声を浴びながらよろよろ歩い
ていた。

―――水夫は後頭部から血を流し
ていた。顔もどす黒く膨れあが
り、唇は切れて制服の白シャツ
を真っ赤に染めていた。帽子も
被らず、靴も履かず、下半身は
裸で、一物が蝸牛の形に縮こま
って股間にしがみついている。
そのことは彼が何をしようと試
み、男たちに追われているかを
物語っていた。軍隊の駐屯する
ところ、婦女暴行の事件が発生
するのは今も昔も変わりがない
(「ペリー艦隊殺人事件」より)

♪音声AIナレーション


読者の感想
黒船来航、ペリー旗艦三隻からなる船団。
水夫が起こした事件、事故をもとに、
苦悩する琉球の三司官たち。
そこで相談をうけた宣教師の
ベッテルハイム。
犯人の身代わりとなった男たち。
エンターテインメント&ショートストーリー
結末はいかに。
読み応えがありました。

by Y.H




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