笑子えみこ)の後悔」・あらすじ

笑子えみこ)は、十年前に夫を亡くした。
まだ働き盛りの五十歳という若さで、心筋梗塞という突然の死だった。
専業主婦で夫に頼りきっていた笑子は、大黒柱を失い途方に暮れた。

一周忌を終えると思いきって仕事をすることにした。
といっても、ずっと専業主婦で通してきた笑子には得意とすることもなく、
新聞広告で見たホテルの洗い場・皿洗い募集に目が留まった。
簡単な面接を受けて、採用が決まった。

五十歳で得た仕事は、きついがそれなりにやりがいもあった。
今まで、家庭と子育ての範囲でしか知らない社会だったが、仕事を持ち、
責任を持って業務をこなすうち、また自分で働いて得たお金で生活していくうちに、自信も出てきた。
ホテルへの就職が決まったと同時に、今まで住んでいた賃貸マンションを引き払い、
一人でも十分な広さがあるアパートに移った。

三年前には、ロボット掃除機のココロちゃんが、唯一の同居ロボットになるが、
声を発する掃除機にさえ癒され、心を許す笑子であった。
アパートには、母子家庭の親子や一人住まいの高齢者、働き盛りの若者等、
様々の人生を抱えた人たちが入居していた。
相手に遠慮なく思ったことをずけずけと話す大家の仲村さんを含め、
何気ない日常の中での出来事は、人としての生き方、関わり合いを考えさせてくれる。

笑子は、社会の営みの中で、当たり前の平凡な日常に感謝をしつつ、前向きに歩き始めていた。

そういう中で、今は亡き夫との関わりの中で今もって後悔していることがあった。
それは・・・

♪音声AIナレーション


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